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沖縄の川に棲む無敵の外来魚、プレコ(マダラロリカリア)とは何者か

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2017.03.08
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沖縄の川に棲む無敵の外来魚、プレコ(マダラロリカリア)とは何者か

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2017.03.08
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平坂 寛

「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲しているライター。
生物の面白さを人々に伝え、深く学ぶきっかけとなる文章を書くことを目指す。

著書:「外来魚のレシピ〜捕って、さばいて、食ってみた〜」「深海魚のレシピ〜釣って、拾って、食ってみた〜」(ともに地人書館)
「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)

沖縄本島中南部の都市河川には、まるで鎧をまとったような姿とガードの硬さを誇る魚が多数うごめいている。たとえば那覇市内を流れるこんな都市河川。


なにやら見慣れない魚影が…?

その正体はマダラロリカリア(Liposarcus disjunctivus)……と書いてもピンとくる人は少ないだろう。
だが「プレコ」と称せば、話は違う。
熱帯魚に多少でも関心を寄せる人ならば、この特異な形態の魚を思い浮かべるはずだ。
マダラロリカリア、通称プレコ(※プレコとはナマズ目ロリカリア科に属すこういうずんぐりした飛行機みたいな形をした一部の魚の俗称かつ総称)。

南米原産 捨てられたペットが野生化

この魚は日本とは気候の大きく異なる熱帯域のど真ん中、アマゾン水系原産なのだが、
国内でも比較的温暖な沖縄島では30年ほど前から確認されはじめ、現在では各地で定着してしまっている。

先ほどちらっと述べたように、この魚はその奇妙な外見がうけて観賞魚として珍重されている。
(流通名・商品名は単にプレコであったり、ヒポプレコとかサッカープレコとされることもある)
ちなみにこの“プレコ”は観賞魚業界では「スーパーオレンジフィンレオパードトリムプレコ」というド派手な名前で流通している。

なるほど観賞魚店やペットショップに並ぶ体長数cm程度の幼魚はそれはそれはかわいい。
価格も200円程度からとかなり手が出しやすい。
しかも水槽に生えたコケや他魚の食べ残した餌を掃除してくれるという「まあ一応、間違ってはいない」情報が訴えるようで、観賞魚ビギナーがよくよく調べもせずに購入してしまうケースが多いようだ。

そして、この軽率なお買い物が悲劇の発端となる。
この魚、実はかなり大型になるのである。こんな感じに。

写真の個体は全長60センチほど。70センチを超える個体の記録もある。
こうなっては幼魚の頃の愛くるしさは完全になりをひそめる。
不勉強な飼い主にしてみれば「話が違う!」ということになり、愛情を注げなくなる。
そもそも一般的なサイズのガラス水槽では飼育すること自体が難しい。
缶ビール程度の値段につられて軽いノリで買ってきた魚に、高価で場所を取る大型水槽を与えてまで飼い続ける者は稀だ。
サイズもさることながら、「姿が(特に腹面)キモい」という理不尽な理由で愛想を尽かされることも。…まあ、わからんでもないかなぁ。

里子に出す、殺処分、小さな水槽で無理して飼って死なせるというのはまだましな方である。
「この手で殺すのはあまりにかわいそう。もう我が家では飼ってやれないけど、せめて広い川で元気に暮らして…」という慈悲の心と無責任さと身勝手さと無知がケミストリーを起こした思考によって多くのプレコ達が日本中で放逐されるわけである。

その後、ほとんどの野良プレコたちは冬の低水温に負けて死んでしまうのだが、
温暖な沖縄ではそうはいかない。
すくすく育って子供までこさえてしまうのだ。
南米原産だけあって低水温にはてきめんに弱い。沖縄でも寒波が到来するたびにかなりの数の個体が死んで岸辺に打ち上げられる。

鎧をまとった無敵の外来魚

しかもこの魚、基本的に沖縄の川ではほとんど向かうところ敵なしなのである。
なぜなら、冒頭で触れたように異常にガードがカタいからだ。
誇張でなく鎧のような鱗をまとっており、国産の川魚や水鳥では咬みついても傷を負わせることすら困難である。
石畳のように敷き詰められた硬く厚い鱗。成魚になってしまえば日本では敵なしだ。

しかも硬い棘をもったヒレが四方に向けて飛び出ており、丸飲みすら至難であろうと思われる。

頭もガッチガチ。叩くとコンコンと乾いた音が鳴る。

…本種が多数生息する沖縄の安里川には1m程度のオオメジロザメ(Carcharhinus leucas)幼魚が侵入し、川魚を漁る。
マダラロリカリアもターゲットにされることがあるようだが、彼らを以てしてもこの鎧を食い破ることはできないようで、ヒレがズタズタになっただけでのうのうと生き延びるという。

沖縄の河川へ遡上するオオメジロザメ。彼らの歯にかかってもプレコは食えない。

サメでも無理ならもうダメだ。原産地での天敵であるワニでも連れてくるしかない。
このタフさゆえにバンバン繁殖してしまい、今では沖縄でティラピア類やグッピー(Poecilia reticulata)と並んで、最も多く見られる淡水魚の一種となっている。

捕まえ方

本種の捕まえ方は至極簡単である。
まず適当な川や池で目視で探す。(比謝川、安里川など沖縄本島中南部に多い。)
あとはタモ網で掬ってもいいし、ヤスで突いてもいい。
投網を打てば大漁間違いなしだ。
投網が苦手な僕でも一網でこれだけ獲れる。これが獲れない人はまず漁師にはなれない。

でもわざわざそんな道具を持ち出すまでも無い。
マダラロリカリアは水深が30cmもあれば平気な顔で水底の有機物を食んでいる。
己の防御力に絶対の自信を持っているのか、人が近寄っても案外逃げない。(たまに異様に警戒心の強い個体もいるが)
膝までズボンをたくしあげて、手づかみしてやればいいのである。
10分そこらでこの成果。コツを掴めば素手でもホイホイ捕まえられる。

環境に与える影響は?

マダラロリカリアが国内の河川に与える影響としては次のようなことが考えられる。

・石に生えたコケや水底の有機物を食むため、同じような食性を持つ在来の魚や甲殻類(例 : 珪藻食のリュウキュウアユやボウズハゼ類)とエサをめぐって競合する可能性を秘めている?

・口に入る大きさであれば動物質のものも食べるため、在来の小型魚や卵、仔稚魚あるいはその他の水生生物を食害する可能性が、なきにしもあらず。

・産卵に際して河川の岸際に巣穴を掘るため、川岸の地盤の脆弱化につながる。

しかし、既に深刻な被害の実情があるわけではなく、潜在的な危険性という程度の認識にとどまっている。そのため、行政による本格的な駆除は行われていない。

だが、このまま分布を広げて在来魚の豊富な沖縄島北部の河川へ侵入した場合、具体的にどのような影響が出るかは計り知れない。これ以上の拡散を未然に防ぐ努力が必要であろう。

一応、食べられる

…なお、一応プレコの類は原産地では食用になっている。
マダラロリカリアも食べられないことはない。
鶏肉に近い締まった身で旨味も強いので、香味野菜や酒などで臭い消しを施してやればそれなりには食べられる。

棲んでいる水域の環境ゆえ、身が強くにおう場合もある。しかし素材自体のポテンシャルは低くないので、丁寧に調理すれば上等な料理へ変貌してくれるもしれない。


腹に香草を詰めて丸焼きに。


丸焼きはハコフグのように殻(?)をかち割って身を食べる。身体構造が特殊な魚は、どうしても調理法や食べ方まで独特になってしまう。

ニオイが気になる場合は揚げ物にすると食べやすい。その他、香味野菜や香辛料をふんだんに使ったスープや煮込みもよい。

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