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「シガテラ」の脅威 その実態と体験談

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2016.04.15
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「シガテラ」の脅威 その実態と体験談

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2016.04.15
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  • 南西諸島

平坂 寛

「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲しているライター。
生物の面白さを人々に伝え、深く学ぶきっかけとなる文章を書くことを目指す。

著書:「外来魚のレシピ〜捕って、さばいて、食ってみた〜」「深海魚のレシピ〜釣って、拾って、食ってみた〜」(ともに地人書館)
「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)

2016年4月12日、東京築地市場にて「バラハタ」という魚が販売され、全国で盛んに報道される騒動となった。
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バラハタ

バラハタは国内では和歌山県以南に産する南方系のハタ科魚類である。
産地によっては体内にシガテラ毒を蓄えてしまうことがある。このため、東京都は販売を自粛するよう指導していた。
今回の一件では外見の似ているナンヨウスジアラと誤って陳列されてしまったのだという。
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沖縄の鮮魚店にて陳列されるバラハタ(写真下 地方名:長尾(ナガジュー)ミーバイ)とナンヨウスジアラにごく近縁なスジアラ(写真上 赤仁(アカジン)ミーバイ)。沖縄ではバラハタも普通に販売されている。しかも、結構高価。

シガテラとは
シガテラとは熱帯・亜熱帯域沿岸部に見られる食中毒の一種で、シガトキシンやマイトトキシンなどシガテラを引き起こす毒素をシガテラ毒と総称する。
シガテラは海洋性植物プランクトン由来のシガテラ毒を体内に蓄積した魚を食べることで発症する。
自然界においては、生態系上位の大型肉食動物ほど高濃度で毒素を溜め込む(生物濃縮)傾向があり、シガテラ毒を引き起こす魚類も大型のものが多い。
また、シガテラを引き起こす可能性のある魚種は多岐に渡る。
国内で漁獲されるものではバラハタの他にカスミアジ、ドクウツボ、アオチビキ、バラフエダイ、オニカマスなどが代表的である。
image02
カスミアジ(別名:ドクヒラアジ)

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ドクウツボ(沖縄本島の市場で撮影。沖縄周辺ではシガテラを持つことは稀だとされ、食用にされる。)

image04
アオチビキ

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バラフエダイ

image03
オニカマス(バラクーダ) 写真はタイランドにて。日本ではまず水揚げされないが、海外では食用にされるところも。

だが、シガテラ毒を保有する個体が出現する頻度は地域によって大きく異なる。そのため、一概に「この魚はシガテラ持ちだから絶対食えない!販売も禁止!」と断定されることは少なく、同じ魚であっても地域によってはごく普通に販売されたり、厳重に流通を禁じられたりと扱われ方はさまざまである。

たとえば、今回築地市場で大騒ぎとなったバラハタも沖縄本島では「ナガジューミーバイ」と呼ばれ、食用魚としてごく普通に流通している。ドクウツボやキツネフエフキなども同じく東京都では販売自粛指導の対象となっているが、沖縄の市場や鮮魚店ではたびたび見かける魚である。
これはおそらく、沖縄では市場へ入る沿岸性魚類の産地が限定されるのに対し、東京は全国各地あるいは海外からも魚が搬入されるため産地の特定が困難であることに起因するものと考えられる。

このように有毒無毒の境界が曖昧ということもあって、中毒の報告は後を絶たない。

では、シガテラの症状とはどんなものだろうか。
実際に中毒を経験した一家に話を聞いた。

シガテラ体験談 沖縄在住Oさん一家のケース
沖縄県で農家を営むOさん一家は数年前に宮古島産のコクハンアラと思しきスジアラ属の魚を購入し、宴会で刺身にして食した。
件の魚は体重20キロ近い大型個体であったため、親族と来賓含む15名の出席者全員が存分に味わうことができた。味は非常に美味であったという。
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コクハンアラ。スジアラ属の非常に美味な魚で、沖縄では高値で取引される。だが、稀にシガテラを持つことでも知られる。

異変が起きたのは数時間後のことであった。
就寝中だった次男(当時5歳)が脚の痛みを訴え、激しく泣き始めたのだ。
ただ事でない苦しみ様から救急病院へ搬送したが、医師にも原因不明を言い渡される。腹痛を訴えることは無かったため、食中毒を疑う者はいなかった。
症状には波があり、数十分おきに激しい痛みと安静が交互に訪れていたという。

直後、長男(11歳)と長女(8歳)も同様の症状を訴える。ただし、魚が苦手で問題の刺身を二切れ程度しか食べなかった長女の症状はは比較的軽かった。症状は夜間に強く、頻繁に出たという。長男はこの痛みについて「成長痛をひどくした感じ」と語っている。
時を同じくして、Oさん夫妻の脚にも異常が生じた。子供たちのように強い痛みを感じることはないが、脚が重く階段の昇り降りや膝の屈伸がに支障をきたした。
やはり刺身二切れにしか手をつけなかった母親に比べ、魚好きでより多く食べたOさんには重い症状が出た。手の痺れもあった。ここでようやく、この症状が宴会で振る舞った魚に起因するシガテラであることを確信したという。しかし、シガテラに効果的な治療法や薬が無いため、静観するほかなかった。

宴会の参加者に連絡を取ったところ、やはりほぼ全員が程度に差はあるものの同様の症状に苦しんでいることが明らかになった。

両親はこの症状の重軽について、奇妙な傾向が見られたと語る。口にした刺身の寡多によっても症状の度合いは変わるが、それ以上に患者の年齢と強い相関があるというのだ。
40代の者は脚や手に痺れが出る程度であったが、20〜30代の参加者では強い痛みに悩まされ、10代以下の児童では夜も寝付けないほどの重症を呈した。
そして、驚くべきことに出席者の中で飛び抜けて高齢であった70代の男性は、刺身をたらふく食べたにもかかわらず発症が見られなかったというのだ。このことから、Oさんは「シガテラ毒は若い者ほど酷くアタるのではないかな」と考察しているという。

ただし、興味深いことにこのケースでは年齢の高い者ほど完治までに時間を要したという。
もっとも若く、もっとも症状の重かった長男、次男、長女は3日程度で寛解したのに対し、年長者は一週間以上も脚や手の痺れに悩まされたという。Oさんに至っては一ヶ月近く四肢が上手く動かせず、仕事に支障が出たという。

…もちろん、これは中毒の一例にすぎない。シガテラの症状は様々であり、必ずしもこの体験談通りに発症するとは限らない(冷たいものを熱く感じるなど触覚に齟齬が生じる、腹痛や下痢に見舞われるなど様々な症状が報告されている)。
だが、彼らの語った四肢の痛みや麻痺などはもっとも典型的な症状である。南洋の魚を食べてこうした異変を感じたら、シガテラを疑ってみるべきだろう。

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