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深海魚「ミドリフサアンコウ」を食べる

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2016.05.19
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深海魚「ミドリフサアンコウ」を食べる

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2016.05.19
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平坂 寛

「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲しているライター。
生物の面白さを人々に伝え、深く学ぶきっかけとなる文章を書くことを目指す。

著書:「外来魚のレシピ〜捕って、さばいて、食ってみた〜」「深海魚のレシピ〜釣って、拾って、食ってみた〜」(ともに地人書館)
「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)

高級魚、と聞いてどんな魚を連想するだろうか。
それはトラフグだったりクエだったり、人によってさまざまであろう。
僕の場合は茨城県に住んでいたこともあって、真っ先にアンコウを思い浮かべる。あれは美味い。だが、値段が値段なのでなかなか手が出ない。

ところが先日、駿河湾の漁師さん伝いに「アンコウ」を、なんとただで貰い受けることができた。
それがこちら。
image03
赤地に緑色の斑点…。

…一般的にイメージされるアンコウからはかなり離れてしまっている気がする。
真っ赤な皮膚に緑色のスポットが無数に散らばっているあたり、おそらく神様がちょっとサイケにかぶれていた折に創造したのであろうと思われる。
image10
だが、シルエットは紛れもなくアンコウの仲間。手に持つとフルフルとして柔らかく、水っぽい印象。

この魚の名は「ミドリフサアンコウ」。アンコウ目フサアンコウ科に属する魚で、深海底を好む(水深100メートルに満たない浅場でも時折漁獲される)。
しかし体色は無視して、頑張って無視してその体型に注目すると、確かにアンコウっぽい要素は多々ある。
image12
なかなか愛嬌のある顔をしている。

image07
ちゃんとアンコウらしく、鼻先には「釣り竿」も付いている!ずいぶん控えめだが、ちゃんと餌をおびき寄せる機能は果たしているのだろうか。ちなみにアンコウの英名は“angler fish(釣り人魚)”

image29
生前の姿。フグのように水を吸ってパンパンに膨らむ。眼の奥には暗い海底で光を集めるためのタペータムという反射板が組み込まれており、青く輝いている。深海魚によく見られる特徴だ。

image02
まるで「後脚(前脚ではない)」のような胸鰭。これで海底をヨチヨチと這っているのだろうか。

image04
腹面。下アゴに生えた無精髭はやはりアンコウ。だが、もう一点注目すべき点が。

image08
なんと、腹鰭を皮下に格納できるようだ。どういうメリットがあるのだろう。海底を這いまわる際に邪魔にならないように、とか?

脚のような鰭にフライパンのような体型、鼻先の釣り竿にあごひげと、観察すればするほどアンコウらしさが見えてくる。
ならば、味や触感もアンコウに似ているのでは?試してみよう。
作る料理はもちろん、(みどりふさ)あんこう鍋である。

魚自体の味を正確に知るため、あえて塩だけで味付けして煮込む。
image05
かわいい顔して、腹の中は真っ黒。

image01
ミドリフサアンコウ鍋。加熱すると、魚体はドラゴンフルーツのように膨れ上がった。

image06
壮絶な表情。ちょっと申し訳ない気持ちに…。

火が通ると、ミドリフサアンコウは張り裂けんばかりに膨らんでいた。いや、実際に赤くて厚い皮はところどころが裂けている。
ホオズキかドラゴンフルーツのような見た目は、お世辞にも食欲をそそるものではないが、一体どんな味なのだろうか。

image13
身は白く、加熱すると引き締まって意外としっかりした食感に。

汁をレンゲで掬って一口すする。
…あれ、美味いな。甘い風味のやさしいダシが出ている。これは期待できる。
image00
身も美味い。ただし、味も食感もアンコウのそれとははっきり言って別物。むしろカサゴなどに近い。

続いて身をかじる。
加熱前の水っぽい触り心地から一変、ほどよく身が締まり、しっかりした歯ごたえが生まれている。ほのかに甘く、ダシの風味も含めて、ちょっとカサゴなど小型の根魚に近い印象を受ける。
さほどトガった特徴のある味ではないが、間違いなく美味しい魚である。
image01
肝も鍋に入れてみたが、鮮度がちょっと落ちていたようであまり美味しくなかった。もしもまた機会があれば、ぜひ新鮮なうちに試してみたいものだ。

意外とイケるのでよくよく調べてみたところ、東海地方の一部では「アカアンコウ」と呼ばれ、食用魚として流通しているようだ。マイナーな魚ゆえ、水産種としては認知すらされていないと思い込んでいたので、これには少々驚いた。

美味い魚は決して見逃さない。それが日本人なのだとつづく思い知った。

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