オホーツクの異形 オオカミウオ (北海道・知床)
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2016.05.30

オホーツクの異形 オオカミウオ (北海道・知床)
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2016.05.30
オホーツク海の岩礁地帯に、世にも恐ろしい貌を持つ巨大な魚が生息している。
オオカミウオ。
強大な牙と顎を持つことに由来する名である。
だが、その容貌の厳めしさは狼の比ではない。
いや、狼に限らず他のあらゆる生物を引き合いに出したとて、彼らの姿を喩えることはかなわないであろう。
…その異形と巨体に、何か特別な恐れや聖性を感じたのだろう。
北の厳しい自然に生きたアイヌの民は、畏敬の念を込めて彼らを‟チップカムイ” ――神の魚と呼んだ。

オオカミウオが暮らす知床の海。彼らはこの海域における生態系の頂点に君臨する。




体色は個体によって褐色のものと黒っぽいものとがある。

(´Д` )



個体数の少ない魚ではないようで、オホーツクの岩礁帯では頻繁に釣り上がるという。ほかの魚を狙う釣り人は糸を切られるのを嫌って、あえてオオカミウオの多い漁場を避けることもある。

巨体と大きな口、そして無数の歯は見る者を圧倒する。


その強面は、さながら「北海の親分」。

頬の異様な膨らみ。尋常でない量の咬合筋を備えているのだ。




尖った門歯と、驚くべきは口蓋から喉へと並ぶ臼歯。

オオカミウオの胃内容物。砕かれたホタテの貝殻が散見される。

オオカミウオの刺身。食味も悪くない魚であるが、同海域で大量に漁獲されるサケやホッケ、アオゾイなどにはやや劣る。そのため、水産資源としてはほとんど利用されていない。



小型の個体からでも、握りこぶし大の頬肉が採れる。肉質は鶏肉のように筋肉質。手でも噛まれたらと想像すると…。

日本が、北海道が、世界に誇れる魚だろう。

