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微笑みの国の奇妙なナマズ 「ワラゴ・アッツー」を求めて (タイランド・カオレムダム)

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2016.06.01
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微笑みの国の奇妙なナマズ 「ワラゴ・アッツー」を求めて (タイランド・カオレムダム)

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2016.06.01
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  • 海外釣行記

鍋田 陽二

1970年 福岡県生まれ
魚類と両生類をこよなく愛する中年冒険家&ハンター。
Facebook上の釣り愛好会『魚塾』の塾長を務める釣りバカでもある。

旅の始まりの日
2016年1月17日のことである。私は「ワラゴ・アッツー」という名の奇怪なナマズを追って、バンコクのスワンナプーム国際空港に降り立った。
今回の旅のアテンドであるタイ在住のフィッシングガイド、井内誠治氏(ニックネームは『シゲさん』)が空港の出口で私の到着を出迎えてくれた。この時が私と彼の初めての出会いである。

ここバンコクの交通渋滞は世界でも指折りの激しさで、指定した時間より前に出迎えを受けたのはバンコクで初めての経験だった。出会った瞬間の安堵感はとても大きかった。
シゲさんはガイド業と並行して釣具店も営んでいる、折り紙つきの釣り好きだ。しかし、後で知った事だが、最近はアイドルグループ“BABYMETAL”を釣り以上にこよなく愛しているのだそうだ。
シゲさんと車に乗り込み、早速タイ北西部の巨大ダム、カオレムダムへ出発した。ここからが、微笑みの国、タイ王国の旅の始まりである。

途中、両替も兼ねてとある観光地に立ち寄った。
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映画『戦場にかける橋』の舞台となった場所だった。まっすぐに架かる一本の鉄橋が印象に残る風景がそこにはあった。これからの6日間、私と今回のターゲット、「ワラゴ・アッツー」との戦場へ向かう前に立ち寄ったこの場所は、私のモチベーションを異常なまでに高めてくれた。

私は既に興奮状態である。この場所で激しく興奮しているのを人に見られては不審者扱いされると思い、私は必死に下唇を噛んで堪えていた…。
ここから5時間程車を走らせると、カオレムダムのほとりに到着した。
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ここからは船での移動となる。車から全ての荷物を積みかえ、船は出港した。海賊王になった気分に浸ること60秒。
船は目的地へ到着した。目的の水上家屋は、岸から見えていた一番近い家屋ではないか…。
海賊王の妄想旅は静かに、そして呆気なく幕を下ろした。
水上家屋には女将さん、お手伝いの女性、スタッフの叔父さん、そして女将さんの息子の4人が生活しており、家屋を宿泊施設として提供する一方、アフリカンクララ、ティラピア等の養殖業の2本柱で生計を立て暮らしていた。
この旅の拠点となる水上家屋にて、早々に釣りの準備をはじめていると、テーブルには昼食が並べられていた。
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メインディッシュは養殖池の淡水魚のディープフライである。
旅での食事は大切、タイ料理は私の好物で上位にランキングしている。全ては良好だ。
食事を終え、竿を出そうと仕掛けを作る。

今回のターゲットである「ワラゴ・アッツー」という魚は鑢状の非常に鋭い歯を持つナマズである。しかも、家屋と生け簀の間の狭い空間でのやり取りを強いられ、一気に引き上げなければならないことを加味して、強力な仕掛けと釣り竿を持ってきた。

竿を3本を用意し終え、エサを針にかけた。今回使用するエサは、鯖の内臓だ。臭い・ビジュアル共に、実にエグイ…。
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生け簀の周りに2本、家屋と生け簀の間に1本の竿を固定し、魚からのコンタクトを待つ…。.
20分ごとに餌の付け替えを行うが、小魚についばまれた痕跡だけが残り、日中の間に本命のアタリは全く無かった。
そして日が暮れ、夕食の時間を迎えた。
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夕食でのシゲさんとの会話で、年末に訪れたお客様は3日間の滞在だったが、風と気温の低下で全くアタリを取れないまま帰国した事を聞かされた。またチャンスタイムは夜明け前から午前中いっぱいである事、夜に掛かる確率は非常に低い事を聞き、危機感を一気に募らせたのだった。

というのも、私がバンコクに入った日も気温はさほど高くもなく、風も強かったからだ。
“チャンスは少ない”。
もう一度自分に言い聞かせた。

夕食を終え、対ワラゴ・アッツー用の竿を3本出したまま、予備の竿で小物釣りを楽しんだ。
水上家屋近辺には、残飯や養殖場の餌の残りを目当てに小魚たちが集まり、夜になると活発に動き出す。まさに夜になるとネオン街に引き付けられる私のように…。

エサのミミズを針に掛け、生け簀と家屋の間に落としてみる。
落として数分で、ミミズを掛けた竿が食いこむ!水面に姿を現したのは、インディアンナイフフィッシュである。この旅の初ヒットに心は踊った。
image05インディアンナイフフィッシュ

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舌に歯が生えている。

次に上がってきたのは、アジアンレッドテールキャットフィッシュの幼魚とスパイニーイールであった。
image02
幼魚ではあるが、初めて手にするネイティブのインディアンレッドテールキャットフィッシュ。うれしい一匹だ。


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スパイニーイール。トゲウナギとも。


小物釣りに夢中になり、気付けば午前1時をまわっていた。
布団を家屋(壁がないので実質野外)に敷き、全ての竿に鈴を付けた後休むことにした。
もちろん、鈴の音が気がかりで安眠できるわけもない。浅い眠りの中、鈴が激しくなる夢を幾度となく見る事となった。
そして、昨晩眠りについた時と何一つ変化のない朝を迎えた。
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水上家屋の朝。

2日目
5時に起床。
すやすや寝ているシゲさんの横で、音を立てないように気を遣いながらエサの付替えを始めた。夜明け前から午前中いっぱいの、いわゆる時合。チャンスタイムである。
20分に一度の餌替えをし、ひたすら待つという、過酷な時間。
こんな作業を何度繰り返した事だろう、未だ何のアクションも起きない…。単純作業を繰り返していたら、あっという間に夕方になり、ここで本日のチャンスタイムは終了となる。

気を落としていた時、女将の息子が学校から帰ってきた。
夕食の時間になり、我々のテーブルに食事が運ばれてきた。昨日はいなかった若い女性が夕飯を運んできた。とても色白でスレンダーな魅力的な女性である。

シゲさんにあの女性は誰なのかと聞いてみると、衝撃的な回答が返ってきた。

「女将の息子だよ」

「OMG(ああ神様)!!」

どうも、夜になると女性に変身(女装)するらしい。
この事実には、驚きとともに複雑な気持ちが込み上がる。
そんな気持ちを察したのか、チラチラと私を見る彼と、何度も目が合ったことは、今でも妻には内緒にしている。
この日も、小物釣りで夜の時間を潰す。本命ではないとは言え、魅力的な魚達が水上家屋には集まってきており、飽きる事はなかった。
初日に続いて、インディアンナイフフィッシュからのコブラスネークヘッド、さらには世界最大に成長するハゼ(最大80cm)マーブルゴビーが釣れたのである。
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マーブルゴビー

そして、この日も本命のワラゴアッツーは、一度も反応を見せてくれず朝を迎えた。

3日目
この日も朝から全く反応は無く、同じ作業を続ける。
鯖の内臓を付けては沈めの繰り返す作業に、さすがに少し嫌気がさしてくる。
昼は炎天下、夜は肌寒いという温度差により、徐々にエサである鯖の内臓は腐りだし、悪臭を放ち始めたのである。
このルーチンワークは、もはや苦行と化していた。

日が暮れた頃、そんな私の気持ちを察したのか、シゲさんが「渓流へカエルを観察しに行きませんか」と提案してくれた。
私は魚に負けないくらいカエルも好きなのだ。喜んで船に乗る。3日ぶりの上陸である。
渓流に入り、しばらく歩くと早速ヒキガエルの一種、Bufo asperと思われるカエルを見つけた。
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Bufo asperだろうか?貫禄に満ちたヒキガエルだ。

堂々たる風貌である。その後もAmolops panhaiとFejervarya limnocharisの2種に会うことができた。短時間で素晴らしい成果であった。
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Amolops panhai

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Fejervarya limnocharis

渓流から船に戻る際、水の中でサッと岩陰に隠れる小さな魚体を発見した。
ドワーフスネークヘッドである。不覚にも、カエルの観察に来ていたため竿を持っておらず、この日は諦めて帰ることにした。
その後、水上家屋に戻り再び竿を出したが、この日も全く反応はない。

4日目
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この日まで本命からの反応は全くなし、残り2日を残すのみとなった。
焦りを感じ出した私を、チラチラ眺めながら呑気に鼻歌を歌う女性(変身済み)。一気に私の焦りは募る。
午前中に水上家屋を離れ、過去に他のアングラーが釣ったポイントに移動し、鯖の内臓を投げ込むも全く反応なし。全てが悪い流れである。
仕方なく昨晩発見したドワーフスネークヘッドを狙いに、再び渓流に向かった。

渓流に入り、隈なく大きな岩の隙間にミミズを落として狙ってみる。
しばらくしてミミズに食らいつく魚影、そしてすぐに岩の間に逃げ込もうとする。
そうはいくものかと一気に引っこ抜いた。
世界最小の雷魚、ドワーフスネークヘッドである。
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ドワーフスネークヘッド計2匹を釣りあげ、早々に水上家屋に戻った。
しかし、この日も本命の反応は朝まで全く無かった。

5日目
明日は早朝から荷づくりをしてバンコクに移動する日である。実質、本日が最終日である。
最終日でもあるので、この日は一歩も水上家屋から出ず本命のワラゴアッツーに集中して、なんとしても釣りあげようと覚悟を決めた。
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最終日の朝。空気が張り詰めているように感じるのは気分のせいか。

朝から例の単純作業を繰り返し、そしていつもより丹念にエサの付け替えを行った。
昼になり、そして夕暮れを迎え、チャンスタイムは終了した…。

いよいよ万事休すといった感じである。難しい釣りになるとは覚悟していたし、気温などの状況も厳しいのは理解していたが、これ程にもアクションがないとは思ってもみなかった。
もっと気温が上がった時期に、改めてここへ戻ってきてリベンジが必要だろうか…と思いだしたころ、家屋と生け簀の間に置いていた竿のリールから、糸が僅かに出ているのに気付いた。スルスルとゆっくりではあるが糸が出ていく。これがワラゴ・アッツーのあたりである事はシゲさから聞いていた。

ついに来た!最後の最後に喰った!そしてこれが最初で最後のチャンスだ!!絶対にバラしてはならぬ!!食わすことは何とか成功した。後はフッキングと狭い範囲での強引なやり取りが残っている。
暫く糸を送り込んだあと、ストッパーをかけて一気にアワセを入れた。旨くフッキングしたようで、竿に重みが伝わった。間髪入れず一気に巻き上げる。

そして!待ちに待ったワラゴアッツーはすべてを飲み込む様な大きな口を開けその姿を現した。
水上家屋に引き上げた後、私は達成感と喜びで狂ったように叫んだ。
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ワラゴアッツーは中々食用としては出回ることはないが、非常に美味しい魚だということで、皆でありがたく頂くことにした。
女将がタイ風のスープとフライに調理し、かわいい女性(変身後)が我々のテーブルにそれを運んできた。
最後の晩に、やっとの宴の始まりである。それまでの重い雰囲気の食事とは違い、最高に美味しいビールとワラゴアッツーを腹いっぱい頂いた。
最高の気分と最高の御馳走に違いなかった。
頭部は干して、記念に持ち帰えろう。
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その日は小物釣りをすることもなく、ぐっすりと眠りについた。

6日目最終日
早朝から荷物をまとめ、バンコクに向け我々は船に乗り込んだ。
船が水上家屋から離れたとき、お世話になった水上家屋に手を振ると、家屋の奧で女将の息子がとても優しい微笑みで手を振ってくれた。

あの時の笑顔は一生忘れない。

さよなら水上家屋。さよなら微笑みの国。
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