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「夢の大物」 ナイルパーチ釣行(エジプト・ナセル湖)

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2016.12.01
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「夢の大物」 ナイルパーチ釣行(エジプト・ナセル湖)

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2016.12.01
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足立 貴志

昭和56年 名古屋産
柔道 空手道 剣道 合気道 合わせて10段 ルアーフィッシング歴25年
柔道整復師の資格を活かし、施術しながら国内外を釣り歩く流しの治療家(元高校教師)。
「釣りはロマンと人情があるから面白い」がモットー。

釣りをたしなむ人であれば、「大物」という言葉に心躍らせる方も少なくないと思う。
夢にまで見た抱えきれないほどの大魚をやっとの思いで釣り上げ、堂々たる姿に感動するも、目が覚めるとやっぱり夢だった…。そんな経験をしてきた方も多いはず。

…実は私もその中の一人。
幼い頃に図鑑で見て感動し憧れた魚に会いに行きたい!いつもいつもそんなことばかり考えている。
SNSやメディアで取り上げられる大魚に会うためには、やはり自分から行動を起こすほかないのだ。
旅に出なければ、その夢は夢のまま終わってしまうのだから。s__3866766

ここで綴るのは世界最重量級の淡水魚、ナイルパーチ(Lates niloticus)に出会うための旅。
私にとって初めてとなったアフリカ旅の全行程である。

旅は経由地も楽しむ
s__3866714自身で釣り場を探し聞き込みによってエリアを絞っていく開拓釣行では、身軽さが求められる為に2週間の旅で荷物の総重量は10kg程度。しかし、今回はフィッシングガイドを雇っての釣行。釣り場が決まっていてルートも確立されているため、荷物は30kgにも達した。

身軽な行動が求められないとなると、ついついこんなことになってしまう。…まあ、荷物の90%は釣具なんですが。

12月31日、成田発エミレーツエアラインにてアラブ首長国連邦のドバイへ7時間のフライト。
トランジット6時間の間に、空港でクレジットカードを使いATMで現地通貨を引き出し街を散歩。実は両替よりクレジットカードの方がお得なことが多い。

私はエアチケットを購入する際にわざとトランジットの時間を空けて街を観光します。折角新しい土地に来たのに何も見ずに通過してしまうのが寂しいので。s__3866716
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また、私は愛煙家で禁煙の航空機内ではすぐに眠ってしまうのだ。あまりお金に恵まれているわけではないので、飛行機をホテル代わりにして目的地まで行ってしまう魂胆だ。

特にアラブはホテルが高い。バックパッカー宿が4000円位する。
年末年始だからというのもあるのだろうが、格安ホテルでも1万円台。このホテルは素敵だな!と思うホテルは大体6万円台からだった。
そして世界で唯一、7つ星ホテルのある国でもある。本物VIPは自家用ヘリでホテルの最上階にチェックインらしい…。さすがアラビア。絵にかいたようなお金持ちの方々が沢山いるのだ。アラビアンナイトは実在しますね。

そしてドバイの街並みを歩くのだが、なぜかケバブ系ファーストフードしか売っていない。s__3866719
1つ約150円…。そしてコーラは120円…。なんでしょうかね、このホテルとの価格差は。さらに散歩しながらケバブ店を食べ歩き。s__3866720いろいろなお店で計8個を食したが、ソースの味や挟む野菜の種類が違っているなど、各店のオリジナリティーが出ていて良い。そしてハズレ店は無し。すべて美味!

s__3866722入国から3時間でHappy New Year!ドバイの方々はカウントダウンした後は、ダンスなのか!南米系の変則的なラテンのリズムとは少し異なり、独特のアラビアンリズム!?がとても心地よかった。ナイフロードにて。

短時間の観光を終え、エミレーツエアラインにてカイロへ3時間のフライト。エジプトへは入国に15米ドルが必要となる。
入国審査は長蛇の列…。エジプト人は専用ゲートから待たずに入国できるが、外国人ゲートはとにかく待たされる。
でも、いざ順番がやってくると挨拶だけであっさりパス。
いままで訪れた国はアメリカ以外どこもそうなのだが、JAPANパスポートの効力は絶大。先人達が築き上げた信頼に感謝です!s__3866725さらに国際線へ乗り継ぎ。ナセル湖への旅路は長い。

いざエジプト入国
ナイルパーチが釣れたら一杯やろう!と空港でウィスキーを購入。
機内持ち込みも問題ないとのことだったが、なぜか国内線ゲートにて引っかかる…。
たちの悪い審査官に袖の下を要求されたが、まもなく責任者が現れて無事に許可と謝罪を得た。あやうく押し負けて不当なチップを支払ってしまうところだったが、日本人として最低限のマナーは守らなければ。とアスワンに向かう飛行機の中で再認識した。
そもそもウィスキーを預け荷物の中にいれておけば済んだ話なのだがそうはいかない。なぜならカバンにはルアーがギッチギチにつまっているんだから…!

今回は政権交代に伴う治安の不安定さとスムーズなフィッシングライセンス取得のため、フィッシングガイド“Lake Nasser Adventure”さんを利用。しかし…!アスワン空港に着くも待っているはずのガイドさんたちが見当たらない…。
一時間待ってもそれらしい人が来ない。仕方なくタクシーを使い船着場を目指す途中、情報収集の為にカフェへ。
この際に会計してみて気づいたのだが、エジプト国内では米ドルもユーロも問題なく使えるが割高感がいなめない。圧倒的にエジプトポンドがお得だ。
現地ガイドへの支払いが米ドルだった為に米ドルしか持ち合わせていないのだ。失敗した。何件も店で両替を依頼するが全て高い換金率を要求される。もう空港を離れてしまったので後の祭りである。

s__3866729エジプトたばこの銘柄は殆どがこのクレオパトラ。街中の皆がこのたばこだ。それ以外の銘柄を本当に見かけない。

s__3866728それ故か日本のタバコはとても目を引くようで、交換してくれ!と皆に言われ私のストックはみるみるクレオパトラになっていく。

s__3866730エジプトのカフェでは殆どの店で水タバコを味わうことができる。現地名でシーシャと言うそうだ。とにかくキツイ。いきなり肺いっぱいに吸い込んだ為、見事にむせた。写真は涙目。

s__3866731現地到着からいきなりガイドがいないというトラブルに見舞われたが、難なくアスワンハイダムに到着。このダムはエジプト軍が警備を行っており橋の両端や各所に武装兵と装甲車が配備されている。分かっていたことだが、砂と岩の国。デザートカモが良く似合う。

ナイルパーチの聖地・ナセル湖へ
今回の旅の舞台となるナセル湖はナイル川を堰き止めてできた湖であり、アスワンハイダムとも呼ばれている。
エジプト・スーダンにまたがる面積5250㎢・貯水量132㎦最大水深180mという広大な湖だ。日本最大の湖である琵琶湖と比べても面積約8倍、貯水量では約5倍という巨大さである。s__3874854
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この湖を10日で釣りきろうというのも難しい話であるが、折角なので中型のボートを借りてボート泊をしながら魚を狙うスタイルとした。
マザーボートを拠点としながら釣り専用の小型モーターボートで釣りに出て、夕方マザーボートに帰還し宿泊をするプランがもっとも快適なのだが、目が飛び出るほどの金額だったため今回は中型ボートを選択した次第。ガイド料を割り勘できない単独での釣行ではこのプランがずっと安上がりなのだ。

そして船着場に到着。「さっきは迎えが行かずにすまなかった。」と会社のナンバー2が直々に出迎えてくれた。
そしてお詫びに、と手巻きタバコを頂いた!これは美味しかった!s__3866732
「No problem! Nevermind! Let’s the fun trip!」 今から楽しい旅が始まるのである。多少のトラブルなど痛くもかゆくもない。友好的な関係を築きたいものである!
ここでやっと事前にリクエストしていた4人のパーティーが集結する。

マッスルコップ ハイサム
s__3866743筋トレ・食事・睡眠に徹する毎日。コーヒーに豆を入れて食しタンパク質を補給するほどの徹底ぶり。
釣りは全くしない。しかし有事の際は警察官である彼が最高のパフォーマンスを見せてくれるだろう。
彼はあまり英語が話せないのが難点だが、単純な腕力だけでは私以上のものを有する。毎日昼食後になると私にカンフーを教えてくれ!と頼みに来て灼熱の砂漠で空手の稽古が始まる。終わったら暫く竿は振りたくなくなる。彼には何度も言ったのだが私が使えるのはカンフーではなく空手・柔道である。

カンフーコック ムハンマド
s__3866772調理全般担当。私への質問は「ジャッキーチェンはもう引退してしまったのか?」「ジェットリーは今何歳だ?」などほぼすべてカンフー映画関連。

s__3866758彼はタイガーフィッシュを釣るのが大好きだが、ナイルパーチには全く興味が無い。そのため岸際のベイトサーチは全て彼に任せることとなる。サウスポー。写真ははじめて触るベイトタックルの使い方がわからず戸惑うの図。

ムスリムガイド ムラード
s__3866749ナセル湖でガイド業を営んで20年のベテランガイド。広大なナセル湖を所狭しとかけまわる。

s__3866733彼は定刻になるとお祈りを始めるため、釣りはストップする。後半戦からはこのお祈りの時間に私とカンフーコックが島に上陸して釣りをするという手段をとった。マッスルコップは船に残って腕立てである。彼のお祈りの時間が短くなるのは気が引けるし、私も待ってるのは苦手なのでWINWINでいこう!と。熱心な宗教家。神がなんとかしてくれるさ!が必殺のキメ台詞。

ドクトル アダチ
s__3874851私です。アダチもタカシもアフリカ圏ではどうやら発音しにくいらしい。そこで職業を聞かれる「Bone setter(骨接ぎ)」だと答えるがやはり反応が芳しくない。折れた骨を元に戻す職業だ!と答えるとそれはDoctorの仕事だと。この時より私の呼び名はドクトル(エジプトではドクターの意)となってしまう。私は注射も打ったことないんだよ!ドクターとはちょっと違うんだ!と説明するが後の祭りである。発音しやすかったのだろう。仲良くなれるならまあいいか。

いざ出船!
最初の2日間はガイドさんの指示に従う。トローリングがメインのようだ。とりあえずこちらからは一切意見しない。現地の釣り方も勉強したいので。
ラインはビミニツイストでダブルラインにしてショックリーダーとは電車結び。リーダーとスナップはシングルユニノットにて結合。これが現地流らしい。s__3866769使用するルアーの一部。

ところで、ナセル湖で釣れる魚はナイルパーチだけではない。
タイガーフィッシュと呼ばれる、鋭い牙を持つカラシンの一種もルアーへ果敢にアタックしてくる。
s__3866735ナセル湖産タイガーフィッシュ。20~35cm位のサイズであればかなりの数釣りが可能。

s__3866736ガイド曰く、このタイガーフィッシュがナイルパーチの現在の主食だという。獲物がテラピア等の他の魚に切り替わるのは更に季節が進行してからのようだ。現在のナセル湖は年間を通して最も気温水温共に低い状態なのである。

さっそくカンフーコックが中型の個体を釣り上げた。てっきり今夜のおかずになるものと思っていたが、骨が多くて食べにくいので塩漬けにして寝かせるようだ。流石ミイラの国である。
塩漬けのタイガーフィッシュを沢山持って帰るとカンフーコックの奥様が喜んでくれるそうだ。
「じゃあクーラー満タンに釣ろう!」
ということで量産に入る。s__3866744
ものの1時間程度であっさりクーラーは満タンとなる。これで自分の釣りに集中できそうだ。しかしこの魚はこのサイズではあまり引かない。

めぼしいポイントに魚探をかけながらのトローリングで魚を探す。s__3866734
…やっぱりいろいろと言いたいことは出てくる。多分引くスピードが速すぎる…。そしてルアーが水深にあっていない…。糸も信用できる自分の結び方で結びたい。明日からは意見を言わせてもらおう!s__3866747

それにしても日が沈むと一気に寒くなる。昼は30℃に達するが、夜は10℃を下回る。s__3866742
圧倒的に湿度が低いので暑さはあまり感じないが夜は兎に角冷える。
昼は短パンTシャツ。夜はブレスサーモにダウンジャケットで寝袋です。もう少し季節が進めば全体的に温度が上がるとのことだ。現地では夜釣りはしないようである。なぜ夜に釣りをしないのか?と問うと、「ワニやサソリが危険だから」とのこと。納得。s__3866748ルアーに重りをはって、糸をライトラインに巻きかえる。全ての針先をチェックし、リーダーを結びかえる。明日からは自分の釣りで釣ろう!キャスティングで!

s__3874858現地の漁師さんと情報交換をする。写真はお手伝いに来ていた息子さん。嬉しそうに魚を見せてくれたが、強い日差しの為にしかめっ面である。英語ではドルフィンモルミルスとかドルフィンフィッシュと呼ばれる魚だ。

s__3874859これもナイルパーチのベイトフィッシュになるのか?と尋ねると答えはNoだそうだ。あと、すごく臭い。情報のお礼にタバコを1箱。

嬉しいゲストが“釣れちゃった”!
そして二日目、想定外のラッキーフィッシュが釣れてしまう!
リールの糸が弛んできたので、しっかり糸を巻き直そうと一度ド遠投。底から急いで糸を回収しているといきなり明確なアタリが。正直焦った。
そしてファイト。簡単に寄ってくる…。しかしこの時私はナイルパーチが舟に向かって泳いでいるだけかもしれない!と思い必死に巻きまくる。魚体が見えて…ん!?タイガーさん!?
s__3866750
ラッキー!しかも重さは5~6kg。この湖で釣れる最大サイズとのこと!徳は積んでおくものだなぁとしみじみ思った。s__3866754
この魚は上顎も下顎も同時に開く。s__3866756
実際に口が開く様はエイリアンのようだが、かわいいとぼけた目をしていて憎めない奴です。
リリースしようとしたら、カンフーコックが魚の頭をギャフで強打して満タンのクーラーにねじ込んでいた。奥様への愛を感じる。s__3866745浅場も念のためチェックしてみる。今回はガイドのおすすめポイントでアタリが出るも乗らず…。ルアーを見てみると鋭くえぐられたような噛み傷が…。どうやら本命ではなくタイガーフィッシュだったよう。残念…。

s__3866746さすが夢の大物。簡単な相手じゃない…!

夢、かなう。
釣行5日目。
私もガイドも、とある水中島を狙いを定めていた。何よりも古い魚探でも大型のナイルパーチは写ってしまうのである。魚のいる水深は15m。トローリング用のディープダイバーに大量に板重りを貼って水底を攻める。
船を停めて大遠投を繰り返す。何度投げたことだろう。ゆうに100投以上は似たようなラインを通している。
灼熱の太陽が頭上を過ぎて傾きかけた頃、明確なアタリが出た。
「コン!コン!コン!…ゴッ!!」
衝撃とともにルアーの動きが止まった。
いったん相手にルアーを持っていかせて、ラインを竿ごと引く。相手の体重を利用するのだ。まるで柔道。

……魚はかかっているはずなのだが、ビックリするほど引かない。まるで大きなゴミ袋でも釣っているかのようだ。
水温17℃はナイルパーチにとって極寒の水温。体が温まっていなかったのだろう。しかしボート際に来て彼のスイッチが入る。
ファイト後半は正にナイルパーチと呼ぶに相応しいファイトを見せてくれた!なんといってもボート際で行われるエラ洗いは圧巻の一言。体の半分を水面に出し、力の限りに暴れる様は今でも鮮明に思い出すことができる。
スピードは無い魚だが、最高に釣り人を興奮させてくれる魚だ。

「ヨッシャーッ!!!」

私達だけしかいない真冬のナセル湖に歓喜の声がこだまする。s__3866762
なんという爽快感だろう。
ボートに横たわったのは全長120cm、体重は20kgオーバーの傷一つない美しい個体だった。
s__3866760
同サイズのアカメと比較すると、まず圧倒的に鱗が小さい。直径で半分以下である。アカメより口が大きいが喉までの距離は短い。こぶし2つは余裕で口の中に納まる。
ナセル湖ではこの8倍の大物も釣れているらしい。ちなみにムラードの自己記録は110kgだそうだ。私の魚なんてまだお子ちゃまですね!s__3866763写真撮影中にナイルパーチちゃんのお漏らしが海パンに付着。かなり粘り気が強く油分が豊富だった。肉食魚なんだなぁと改めて実感する。

s__3866761

そしてカンフーコックより衝撃の発言…。
「やっぱりこの魚はリリースしよう!食べるにはちょっと大きい。」
…えっ!!!!さっきキープっていの一番に言ってたじゃないか!!短時間とはいえ、縦に吊るしちゃったぞ(※大型魚の顎や尾を掴んで縦に吊るす持ち方は脊椎など魚体への負担が大きい)!
しかも深場から釣り上げたから蘇生率は低いと思うのだが…。まぁ、もめても仕方ない。
「リリースに全力を尽くして駄目だったら、これから毎食ナイルパーチだ!!」
という私の提案を呑んでもらい、必死で蘇生を開始する。
だが水温は17℃。なかなか寒いのである。30分位頑張って体が冷え切ったので、一時間ほど岩と岩の間で魚体が横を向かないようにロープで繋いで休憩。s__3866767入水しての蘇生作業にこちらの身体も冷え切り、青ざめる。

私の体が温まり、もう一度蘇生を再開すると、かなり体力は回復している様子だ。尾びれを振る力もパワフル。私の手を噛む力も戻ってきた。けっこう痛い。
これならリリース出来そうだ!さらに15分後位には申し分ない状態まで回復し、リリースに成功する。
リリースまでにかかった時間は約2時間…。まあ元気に帰ってくれて何よりである。
私はリリースする全ての魚に心の中でささやいている言葉がある。
「デカくなってまた会おう!ありがとう!」

まあ、魚にとっては二度と会いたくない相手だろうけどね。s__3866776アフリカンサンセット。美しい。アマゾンでもそうだったがあっという間に昼は夜に変わる。日本と違いその移り変わりが速いためか、色彩は大変色鮮やかだ。ヘタクソが写してもこのレベルで写る。実際はこの100倍綺麗だ。

サンドストーム発生!
夕焼けが美しい。だが見惚れる私に1つの疑問が浮かぶ。
…あれ?雲があるぞ!魚を釣ったときには全く雲ひとつ無い快晴だったのに、いつのまに。
というかアフリカに来てから今日まで快晴しかなかったのに。
時計で気圧を見てみると多少下がっている。あの魚も気圧の変化で口を使ってくれたのかな?なんて思い返してみる。
この時の私は翌日からサンドストームが吹き荒れることを全く予想さえしなかった。s__3866768今日はカンパイだ!しみる!冷え切った体にしみわたる。とても美味い!パーティーにも酒を配ろうとするが皆拒否。イスラム圏ではやはり酒はあまり飲まれていないようだ。あのカイロ空港でのトラブルもこの時に報われることとなる。

翌日起きてみるとなぜだか夜が明けない。薄暗いままだ。しかし太陽はたしかに昇り始めている。
サンドストームだ…!砂漠の砂が風に舞ってまるで曇りのように太陽を遮る。
こんな日は全く釣りにならない。船のロッドホルダーに立てかけておいたタックルは見事に砂まみれになってしまった。

こんな時は情報収集をするに限る。残された日程はあと4日しかない。なんとかサイズアップを達成したいところである。
島に住む漁師さんたちを訪ねて情報をもらう。今までどこで大きな奴を見つけたか教えて下さい!と訊いて回るのだ。s__3866789
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しかし何件も訪ねて得たポイントは見事にバラバラ…。回遊性の強い魚なのだろうか。
漁師達が口をそろえて言うのはこの小船位あったぞ!私の身長より大きかった!というものばかり。やはりモンスターはいるようだ!翌日からに賭けよう!今日はしっかりタックルを整備して、いつ食いつくかもしれない大物に備えるのみである。

翌日。サイズアップを求めて彷徨う。
サンドストーム以降魚を見失ってしまったのである。釣れたエリアに戻ってみるが全く魚の反応はない。移動してしまったようだ。
やっと魚を見つけたのは日没直後。明日からこの群れを追って釣りをすることになる。s__3874867ペリカンが一列になって飛ぶ。

s__3866787現地では出来るだけ現地の状況に即した釣りがしたい!だからルアーはできるかぎり現地でカスタムする。私はルアーを持っていく量を減らしてでも2液性エポキシ・針金・鉛などを携行する。アレがあったらなぁなんて水辺で後悔しても仕方ないので創意工夫でなんとか自分の釣りが出来るようにするのも釣りの楽しみのうちだと思う。

試行錯誤を繰り返し、様々な視点でルアーを投入するものの結局タイムアップとなってしまった。

最善を尽くしたがもはやこれまで。無念でならない。この時、サラリーマンである私にとって延長という選択肢は無かった。
…きっとまたいつかこの地へ。
魚探で見つけたモンスターの影が、今でも私の目に焼き付いているのだから。
s__3866778

エピローグ
ナセル湖で出会ったメモリアルフィッシュの姿は一年が経った今も時折フラッシュバックする。
いつまでもあの感動を覚えておきたいと、僕は彼の雄姿をデジタル魚拓に残すことにした。s__3866794デジタル魚拓はこのジャンルのパイオニアである高知の「パープルヘイズデザイン」さんに製作を依頼した。

写真をもとに製作された実寸大のナイルパーチはその記憶をより鮮明に思い出させてくれる。
魚の匂い。あの力強い生命力。乾いた空気…。

またエジプトにチャレンジしよう!
胸は高鳴るばかりだ。

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