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まるでゴジラ… 生きた化石・イボイモリ 沖縄本島

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2016.06.23
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まるでゴジラ… 生きた化石・イボイモリ 沖縄本島

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2016.06.23
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平坂 寛

「五感を通じて生物を知る」をモットーに各地で珍生物を捕獲しているライター。
生物の面白さを人々に伝え、深く学ぶきっかけとなる文章を書くことを目指す。

著書:「外来魚のレシピ〜捕って、さばいて、食ってみた〜」「深海魚のレシピ〜釣って、拾って、食ってみた〜」(ともに地人書館)
「喰ったらヤバいいきもの」(主婦と生活社)

ゴジラのモデルとなった生物はゴリラとクジラとティラノサウルスだと聞いた。
二足歩行に小さな前脚という骨格はまさに当時の復元図におけるティラノサウルスそのものだし、筋骨隆々な厚い肉体はゴリラに通じ、真っ黒な巨体はクジラに通じるものがある。
だが、もう一つ。きっとゴジラの造形に寄与していると思わずにいられない生物がいる。

南西諸島に暮らす「イボイモリ(Echinotriton andersoni)」という両生類である。

image08

イボイモリは特に沖縄本島北部に多い。この日も国頭郡に住む知人の農地を散策中、彼らに遭遇した。

image23夕暮れ時、地面を徘徊している個体。動作は非常に緩慢。無防備さゆえ、マングースに襲われる事例も増えているようだ。

image44陸貝を探してひっくり返した資材の下からもう一個体登場。どの個体もずいぶん腹が膨らんでいる。産卵前の雌たちなのだろうか。

イボイモリはイモリやサンショウウオの仲間(有尾類)の中でも特に原始的な特徴を残している種で、ごく近縁な種が化石として発掘されてもいる。それゆえ、俗に「生きた化石」とも呼ばれるのだ。

image03

全身から異様な雰囲気を放っているが、もっとも目を引くのはその名の由来ともなっているイボ、突出した肋骨が皮膚を押し上げて形作る7〜9対ほどの突起である。
このため、なめらかなシルエットのものが多い両生類にあって、異端とも言えるゴツゴツした姿である。

image32エラが張って凸凹した顔つきも独特。80年代の作品に登場するゴジラのよう。

しかも、皮膚はヒキガエルのそれのようにブツブツと粟立っている。

この厳めしい容姿が実に怪獣じみていて、多くの人々が本種を形容するのに「ゴジラ」の名を引き合いに出すのである。

image25

進化の余地というのか、その荒削りな様を見るにつけ、なるほど生きた化石の異名が実にふさわしいと思える。

image07厳つい頭部の骨格

image38同じ場所で、もう一つの沖縄産有尾類であるシリケンイモリにも遭遇。

image28身体つきも顔つきも、イボイモリに比べてかなりスマート。これが進化による洗練か。

なお、イボイモリは分布する沖縄、鹿児島の両県において天然記念物に指定、保護されている。

だが、実際は生息地の開発や交通事故によって着々とその数を減らしているようだ。林道傍の側溝に落ちて這い上がれず、そのまま絶命してしまう個体も多い。

また、ノネコやマングースによる捕食被害も深刻だ。シリケンイモリやニホンイモリは皮膚に毒(フグ毒と同じ成分であるテトロドトキシン)を含むことが知られているが、イボイモリはどうなのだろう。

まあ、持っていたとしても微量すぎてマングースたちには効果的でないのかもしれないが。

image06「かっこいい」の一言に尽きる。怪獣を思わせるその外見からイボイモリ類の愛好家は少なくない。当然、日本産のものは飼育や売買が禁止されているが、外国産のミナミイボイモリなどが観賞用に流通している

 

image29尾の下縁や足の裏、総排泄孔の周りなどはイモリらしく朱色に染まる。が、腹の裏は真っ黒。

近年では行政や研究者たちが現状を重く受け止め、本種が多産する地域の側溝を、滑落しても這い上がりやすいようV字型の断面のものに修繕するなどの対策がなされている。

image04茂みへと歩みを進めるイボイモリ

この魅力的な古代生物の生き残りが闊歩する南西諸島は、いわば実在の「ロストワールド」である。

どうかいつまでも、彼らの楽園であり続けてほしいものだ。

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