Monsters Pro Shop

  • READ
  • NEWS
  • Twitter
  • SHOP
  • 月別アーカイブ

    ©Monsters,Inc.

    ABOUT US / CONTACT / PRIVACY POLICY

Monsters Pro Shop

Cart
  • READ
  • NEWS
  • Twitter
  • SHOP


知られざる外来種アフリカツメガエル (和歌山県・田辺市)

READ
2016.07.12
  • 179

知られざる外来種アフリカツメガエル (和歌山県・田辺市)

READ
2016.07.12
    この記事のタグ:
  • アフリカツメガエル
  • /
  • 外来生物

鍋田 陽二

1970年 福岡県生まれ
魚類と両生類をこよなく愛する中年冒険家&ハンター。
Facebook上の釣り愛好会『魚塾』の塾長を務める釣りバカでもある。

カエルの外来種といえば、ウシガエルを筆頭にオオヒキガエル、シロアゴガエルなどが有名な話。
だが、皆さんはアフリカツメガエルという蛙が日本に定着しつつあることをご存知でだろうか?

確かに生体を確認できるのは、非常に限られたエリアであることも事実である。私とアフリカツメガエルを結びつけたのは、何気なく『日本のカエル図鑑』を眺めていた時であった。
私はその時、日本での生息を知った。

その図鑑は日本のカエル46種を紹介した図鑑であったが、その一部に世界のカエルを紹介しているページがある。そのページにアフリカツメガエルが紹介されていたのだ。

そこには『静岡・和歌山に生息』と書かれていたのである。今にも車に飛び乗ろうという気持ちを抑え、ネットで検索してみる事にした。

・静岡は既に絶滅している可能性があるという事
・和歌山県田辺市に粗定着していること

この2つの有力な情報を得ることができたのだ。
私は居ても立っても居られなくなり、颯爽と車に乗り込み、和歌山県田辺市まで620㎞を走らせた。

アフリカツメガエルとは?
ピパ科クセノプス属のカエルの一種で本来アフリカ中部から南部に生息する。一生の殆どを水中で生活する為、水掻きが発達し後ろ足の指に爪が生えている、これが名前『ツメガエル』の由来になっている。
日本に生息する他の蛙ではナミエガエル以外は水中捕食を行わないのだが、アフリカツメガエルの捕食も水中で行う。
又、環境適応能力の面で非常に優れており、本種はアフリカ原産ながら耐寒性を持ち、水が凍りさえしなければ無加温越冬が可能である。オタマジャクシ(幼生)時期は形状が非常に鯰の形状に似ており遊泳能力に富む。
現在は、外来生物法により要注意外来生物に指定されている。

13632853_892608357528904_1051001404_o今回観察した場所にて、時期を変えて撮影したアフリカツメガエルのオタマジャクシ。

13647023_892608394195567_1411612468_o外観からはナマズの幼魚と見間違えそうになる。

繁殖の実態と生息地
東京を出発して8時間後、事前にお電話で御約束していた田辺市自然環境研究会の玉井
済夫会長にお会いして、現状と駆除の経過などについて詳しくお聞きした。

玉井会長が仰るには、2007年に白浜町の写真家、内山りゅう氏が2つの新庄町の鳥の巣地区のため池で発見し、玉井会長らの調査で地区内の7つのため池で繁殖していることが分かった。
その後、何度か池の所有者の許可をとり、水を抜いて駆除を行ったが、泥の奧に逃げ込んでしまい。水を入れた後に泥から出てきて、再び生息数を増やしていく。
現状では駆除の大き成果は見られていない。等々、非常に興味深い話を1時間程お聞きした後、玉井会長と共に和歌山県田辺市新庄町の鳥の巣地区へ到着した。

そこは小さな海に突き出したとても小さな半島であったが、半島内に沼池、田畑や小さな森が存在し、いかにも日本の自然を濃縮したような様であった。

13588996_892608460862227_1316481561_o日本の自然を濃縮したような風光明美な自然を残した様子。

13633316_892608497528890_296498127_o棲息地とされる沼

その沼の一つに入り、早速釣りの用意に取り掛かった。上記したように水中での捕食を行うので今回は釣りにて捕獲する段取りだ。

エサは事前に調べていた彼らの好物「鶏レバー」。仕掛けはハゼ釣り用。
そして釣り竿は私と共に数々の修羅場をくぐり抜けてきた名刀『かんたん川池SP 210』!…つまり普通の延べ竿である。
早速、仕掛けを沼に投げ込んだが中々動きはなく時間だけがゆっくりと過ぎていった。暫く放置しておくことにして、周辺のカエルの生息状況を調べてみることに。
というのも、アフリカツメガエルは他の国のカエルを死滅させる恐ろしい菌の保菌者となりえることを知っていたからだ。
ツボカビ菌である。

ツボカビ菌は、両生類の体表に寄生し、その個体が皮膚呼吸を困難とし死滅する病気である。過去にオーストラリア、北米、南米の一部で蔓延し、世界的な両生類の生息数と、世界の両生類の種の30%もの種数の減少に関連しているともいわれている。
一方、アフリカツメガエルやウシガエルは、この菌に感染しても発症しないとされ、日本国内でも、かなりの確率で両種の個体からツボカビ菌が検出されている。
この様な状況の中、国内種においても僅かではあるがツボカビ菌が検出されたにも関わらず大きな被害が及んでいない。
というのは、ツボカビ菌の発見から研究が進むにつれ分かってきたことだが、日本のカエルは本来この菌を保有し、しかもこの菌には多数のタイプがあることが分かり、あるいはこの菌の起源が日本に有るかもしれないと推測されるようになったのである。実に興味深い話である。

国内種の生息状況
上記のツボカビ菌の状況も踏まえ、ひょっとしたら、近隣に国内種カエルの死骸がないか等、他のカエルの生息状況を自分の目で確認することにした。
暫く、網を片手に周囲の田んぼや側溝を探ったところ、トノサマガエル、ヌマガエル、二ホンアマガエルの元気な姿を拝むことができ、また、目立った蛙の死骸を確認することはなかった。

13621700_892608550862218_2019275690_oトノサマガエル Pelophylax nigromaculatus

環境省により、レッドリストの準絶滅危惧(NT)に指定されている。日本を代表するカエルであるが、実は朝鮮半島、中国、ロシアなどにも生息している。
13639720_892608600862213_940430791_oヌマガエル Fejervarya kawamurai
西日本を中心に多く生息する比較的容易く観察できる種

13632873_892608674195539_996612885_o二ホンアマガエル Hyla japonica
言わずと知れたアマガエル。

いつのまにか釣れてた。
30分ほど散策を行ったであろうか、置き竿をしているところに戻ってみると竿先は沼の中に浸かっており、更に竿が沼に向かってどんどん引き込まれている状態であった。危うく名刀『かんたん川池SP 210』を失う事態である。
慌てて、竿を拾い上げ引っ張ると手元に小気味よく生命の反応が伝わる。引き上げてみるとそこには一匹の黒いカエルがぶら下がっていた。

『あっ!釣れてる』

見事、釣りあげる事に成功していたのである。いつのまにか。13621819_892608710862202_743058304_o艶やかな黒い肌。日本のカエルでは存在しないピパ科の特異なフォルム

13632601_892608734195533_677455514_o水生というだけあって発達した水掻きと、名前の由来となった爪が目立つ。

その後、数匹のアフリカツメガエルを釣りあげその場を立ち去った。
今後のツメガエルの繁殖と生態系への影響に関しては勿論注意していかなくてはいけないのではあるが、同時に着用した長靴と網に関しては、帰宅後、しっかり塩素系の食器洗剤を薄めたものに浸けて消毒を行った。
というのは、ツボカビ菌の他国での蔓延に関して大きく影響するのは我々人間のフィールドワークが大きく影響しているとも言われているからである。
皆様も海外遠征などに出掛ける際は、使用した道具への泥及び菌の付着などには十分気をつけて頂きたい。蛙と自然を愛する私からのお願いである。

この記事を紹介する

  • シェアする
  • ツイートする

RELATED ARTICLE

  • READ
    2017.01.23
    トモチン
    自分より大きな深海魚「バラムツ」を釣って食べた♪(和歌山県・白浜沖)
    • バラムツ
    • /
    • 国内釣行記
    • /
    • 深海魚

    「自分よりも大きな魚を!」そんな野望を抱き、私の戦いは始まった。 相手は夢の怪力モンスター「バラムツ(Ruvettus pretiosus)」、深海魚である。 体内の油脂成分のほとんどが、人体で消化が・・・

  • NEWS
    まるでミニチュア!超小さいカジキが捕獲される
    • セイルフィッシュ
    • /
    • バショウカジキ
    • /
    • 巨大魚

    とんでもなくかわいらしいバショウカジキ(Istiophorus platypterus)が捕獲され、Twitter上で話題を集めている。 カジキの最小記録!形はやっぱりそのままなんだw pic.twi・・・

  • READ
    2017.06.07
    平坂 寛
    ジビエ入門に最適? ウシガエルを捕って食べてみよう
    • 両生類
    • /
    • 外来生物
    • /
    • 獲って食べる

    万能食材ウシガエル 近年、狩猟やジビエ料理への注目度がにわかに高まってきている。 しかし、狩猟免許を得て猟銃や罠で鳥や獣を狩るという行為はやはり一般人には敷居が高い。 だが資格も道具も必要としない、誰・・・

  • READ
    2017.04.11
    平坂 寛
    見てよし、釣ってよし、食ってよし! アマゾンの華「ピーコックバス(トゥクナレ)」を食べる
    • アマゾン
    • /
    • ガイアナ共和国
    • /
    • 海外の淡水魚
    • /
    • 獲って食べる

    いろんな意味でアマゾン一番人気の魚 南米・アマゾンといえば淡水魚の宝庫であるが、その中でも特に人気のあるのがピーコックバス(地域によってはトゥクナレとも呼ばれる)である。 ピーコックバスの生息する河川・・・

  • READ
    2016.03.11
    平坂 寛
    香港のドブでアフリカの巨大魚「クラリアス」を釣る
    • クラリアス
    • /
    • 外来生物
    • /
    • 海外釣行記
    • /
    • 獲って食べる
    • /
    • 香港

    大都市・香港。 およそ、秘境や大自然とは縁遠いと思われるあの街に、大量の巨大魚が生息していると聞いた。 しかも、とびきり汚いドブに。さらにさらに、その魚は元々香港に分布していたものではなく、アフリカ大・・・

  • READ
    2016.11.09
    平坂 寛
    本当にそんなに危険なの? アリゲーターガーとはどんな魚か
    • アリゲーターガー
    • /
    • 危険生物
    • /
    • 外来生物
    • /
    • 巨大魚

    近年、日本各地で発見、捕獲されては騒動になっているアリゲーターガー(Atractosteus spatula)。 本種は最大で全長2m以上に達する大型の肉食魚類で、温帯の日本でも越冬できることから在来・・・

FEATURED ITEM

ショップを見る
  • 速乾ロングスリーブTシャツ(ホワイト)

    5,800円(税込)

  • Pelican eel Tシャツ(シティグリーン)

    4,800円(税込)

  • 速乾ロングスリーブTシャツ(バーガンディ)

    5,800円(税込)

ショップを見る
  • ©King Octopus Inc.,
  • ABOUT US
  • CONTACT
  • PRIVACY POLICY
  • 古物営業法に基づく表示
©Monsters,Inc.
  • ABOUT US
  • CONTACT
  • PRIVACY POLICY
  • 古物営業法に基づく表示