Monsters Pro Shop

  • READ
  • NEWS
  • Twitter
  • SHOP
  • 月別アーカイブ

    ©Monsters,Inc.

    ABOUT US / CONTACT / PRIVACY POLICY

Monsters Pro Shop

Cart
  • READ
  • NEWS
  • Twitter
  • SHOP


初めてのパイク、忘れられない一匹 (イギリス・ロンドン)

READ
2016.07.06
  • 29

初めてのパイク、忘れられない一匹 (イギリス・ロンドン)

READ
2016.07.06
    この記事のタグ:
  • ストリートフィッシング
  • /
  • ノーザンパイク
  • /
  • ロンドン
  • /
  • 海外釣行記

ショータ・ジェンキンス

長期に渡る海外生活の経験を生かし、帰国後もライター業の傍ら、クリエイティブワークやファッションの探求をしながら世界を釣り歩くフィッシングピーターパン。
嫌いな食べ物はネギとタマネギ。
BIGFISH1983ジャパンアンバサダー。

「ヨーロッパ屈指の大都市ロンドンでパイクが釣れる。」
そんな話を初めて聞いたのは、もう7年以上前だろうか?イギリスに住み始めてしばらくした頃、友人との電話越しだった。
しかし、釣りからしばらく離れていた僕はすっかり一般人の常識に毒されていた。
「あんな小汚い川(運河)に魚なんていないよ!」と、特に気に留める事もなく、パイクという古代魚の顔だけ思い出し、いつの間にかそんな話をしたことさえも忘れていた。

それから2、3年経ったある日、仕事で立ち寄った水辺でルアーを投げる釣り人に出会った。
話しかけてみると、パーチという小魚を釣っていると言う。
おまけこれがパーチという魚。パイクほど大きくはならないけれど、肉食性でルアーにもアタックしてくる。

「ちょっとこれではルアーが小さすぎるけど、時々パイクも釣れるぜ。」錆びついたメップスを自慢げに見せてくる歯抜けのオッサンの話に、どこかで眠っていた感覚がまるで音を立てながら湧き上がってくるようだった。

夢中で街を歩く とにかく歩く
調べてみると、日本語でもその情報が出てきた。
Electric Eel Shockというバンドのボーカリスト、森本明人がロンドンのカナル(運河)でパイクを釣っている。
余談だが、後に彼を師匠と慕って、バンドのヨーロッパツアーの度に一緒に釣りをするようになるようにもなった。
写真を見る限り、日本にあるバスタックルでもとりあえずはどうにかなりそうだ。すぐに日本の友人に連絡を取り、いくつかルアーを見繕ってもらい、イギリスに送ってもらった。
すっかり住み慣れて、半ば見飽きた街並みが急に輝いて見えた。
カフェ

住み始めた頃、まだその小さな路地がどこに続くのかワクワクしていた時のように。
電話の向こうにいる友人は「だから言ったじゃん!」と、少し呆れている。

ロンドン市内の釣具屋にも行き、市販のワイヤーリーダーやフォアセップスを買い足した。
日本からのルアーも到着した。
ロンドンの街中で竿を振る日々が、始まった。ロッド
ある程度の情報はネットに転がっている。とは言っても、最初の1匹に辿り着くのは簡単なことではない。
今日はこのエリア、明日はこのエリア、という風に、ロンドンを横に一直線に伸びるリージェンツカナルをとにかく歩き回った。
ボート
ロンドンでは24時間バスが運行している。少し離れたカナルを探りに行く日は、まだ路線番号の頭文字が「N」表示のバスに飛び乗った。NightのNだ。
まだ薄暗い明け方の街を、釣竿を持ったアジア人が毎日のように一人さまよう姿は異様だったに違いない。
夕暮れ

忘れられない1匹と忘れない1匹
全くパイクの手応えがないまま数日が過ぎ、小さなスピナーでパーチを釣りって茶を濁したりしていた。
perch

そんな矢先、パイクは突然その姿を現した。
ピックアップが近づいたところで何かに根掛かってしまったと思いロッドを煽ると、初めて感じる重量感と引きがロッドに伝わる。魚体が水面に翻った。パイクだ…!
初めて見るパイクの姿に興奮しながら、カナル沿いに停泊するナローボートに挟まれた場所で苦戦しているうちに、ロープに巻かれてしまった。
その悔しさは、伸びきったスピナーベイトの無残な姿と、首を振って大きな尾鰭を振って濁りに消えていったパイクを今もはっきりと思い出せる程だ。逃してしまったからこその、まさに忘れられない1匹。

まだドキドキと音を立てる鼓動が落ち着くまで、もくもくと上がる砂煙を眺めていた。

しかし今も思い出せる初めての1匹との出会いはその後すぐにやってきた。
数日後、バスケの帰り道にふと立ち寄った、まだ釣ったことのないエリア。
ルアーを投げ始めてまもなく、明確なバイトと同時にあっさりと釣り上げてしまったパイクは、まるでサンマのように細くて可愛かった。
サンマパイク
だが、パイクという魚の迫力はこんなものではないはずだ。これだけでは終わるまいと更に釣り進む。まだ薄暗いとはいえ、時間は夜の9時を回っていた。イギリスの夏は、朝は4時前には明るくなり、日が沈むのは夜の10時を過ぎてからだ。

グゥン!という感触と同時に、水面がモヤっと揺れた。
後ろで、こんなところに魚なんていねーよ、とばかりに退屈そうに見ていた若者たちも、大きくしなるロッドを見てザワつきはじめる。手前に引き寄せ、ズラリと並んだ歯を見た瞬間に急に実感が湧いた。

「パイクだ!!」

正直、その後のことはよく覚えていない。
初パイク
思い出せることと言えば、膝がガクガク震えていたこと、始めて釣ったパイクという魚をうまく持てなくて苦労をしたこと、それから一緒に歩いていた当時のガールフレンドの、一緒に喜びたいけどパイクという魚のグロテスクさに絶句している表情。
思い返すと笑えてくるのだ。ずっと忘れないのだろう。それ全部を引っくるめて、この1匹なのである。

不思議なもので、1匹釣れてからは行く場所行く場所でよく釣れた。
しゃくれなんかアゴがしゃくれてるパイクが釣れたこともあった。

フライ発祥の地イギリスというだけあって(?)、当時まだ劣勢のルアー釣りをロンドンの街中で楽しむ人間も少なかったのだろう。
スピナーベイト(その頃ヨーロッパではなかなか買えなかった)から特大ビッグベイトまで、なかなか日本では味わえないであろう反応の多い釣りを存分に楽しんだ。
よくも飽きずにパイクばかり釣っていたなぁと今は思うが、おかげで今ではパイクを釣る竿を作ってみたり、こんな記事を書かせてもらったり、釣りが仕事になってしまったのだから人生は分からない。image

釣りと魚への想い
あえて詳しいタックルや釣り方にはほとんど言及しなかったが、ここ数年、SNSやブログなどの情報の速さや正確さは加速度的に上がり、まるで自分が体験したことだと錯覚してしまうぐらい、大抵のことがネットで調べて完結してしまうようになった。

僕自身も森本さんとの出会いで、パイクに大きく近づいたと思う。しかし僕にとっては、初めてのパイクに辿り着くための過程が非常に大切だったように思う。TOP
なんでもかんでも質問したり、他力本願で1匹に辿り着くことはしたくなかった。だからこそ今も忘れられない1匹となり、パイクが大好きになったのだろう。
僕は苦労していると思われるのが好きじゃないので、どこかカッコつけて簡単に釣れたように話してしまうけど、他にも大変なことが色々あったなぁと思う。

競技的に考えてしまうと釣りは情報戦かもしれない。しかし、忘れられない初めての1匹に出会うために必要なのは、情報でも人脈でもお金でもなく、「想い」だと思っている。
その想いが大きく、澄んでいれば、目的の魚を手にしたとき、足が震えるぐらいの感動を得られるのではないか。
どんなに大きな魚を釣っても、誰もが羨む場所に行っても、それに本当に満足するために必要なのは本人の想いだ。そんな同じ想いを持った仲間に囲まれ、大好きな釣りをして、釣りたい魚を追い掛ける今は本当に幸せだ。553382_457034064329959_519003267_n
ヨーロッパにはカナルが縦横無尽に伸びる街が沢山ある。全体的に物価が高いのが辛いところだが、南米アマゾンやアジアのジャングルの秘境などに比べると、ヨーロッパの釣りは誰でも楽しみやすい整った環境である事が多い。ストリートフィッシングなんて言葉あるぐらいだ。
わざわざ釣りをするためだけに、とはいかないかもしれないが、出張や旅行の時に少しでも余裕があれば、パックロッドを片手に旅に出てみてほしい。
意外と、文字どおりその足元に、人生を変えてしまうような魚との出会いが待っているかもしれない。

この記事を紹介する

  • シェアする
  • ツイートする

RELATED ARTICLE

  • NEWS
    まるでミニチュア!超小さいカジキが捕獲される
    • セイルフィッシュ
    • /
    • バショウカジキ
    • /
    • 巨大魚

    とんでもなくかわいらしいバショウカジキ(Istiophorus platypterus)が捕獲され、Twitter上で話題を集めている。 カジキの最小記録!形はやっぱりそのままなんだw pic.twi・・・

  • READ
    2016.10.31
    半澤 聖也
    爬虫・両生類専門店「MASTER OF DRAGON」へ双頭のシマヘビを見に行ってきた
    • シマヘビ
    • /
    • 爬虫類
    • /
    • 突然変異

    2016年10月初旬。 某SNSを発端に、とあるアツいニュースがネットを駆け巡った。 記事の内容はというと「1つの体に2つの頭を持つシマヘビ(Elaphe quadrivirgata)が発見された」と・・・

  • READ
    2016.11.02
    平坂 寛
    世界最大のザリガニ タスマニアオオザリガニについて
    • タスマニアオオザリガニ
    • /
    • 巨大生物
    • /
    • 甲殻類
    • /
    • 絶滅危惧種

    世界一大きなザリガニ。そう聞いて、あなたはどれほどのサイズを想像するだろう。 アメリカザリガニの二倍くらい?いや、三倍?もしかして五倍とか?…いやいや、そんなもんじゃない。本日は世界最大のザリガニ、タ・・・

  • READ
    2016.11.27
    平坂 寛
    オーストラリアのタメトモハゼ(スネークヘッドガジョン)は虹色だった(豪州・ケアンズ)
    • オーストラリア
    • /
    • ケアンズ
    • /
    • ストリートフィッシング
    • /
    • タメトモハゼ
    • /
    • 小型美魚
    • /
    • 海外釣行記

    リゾート地のドブを覗く 2016年11月、僕は仕事でオーストラリアはケアンズを訪れていた。 11月のケアンズ。抜けるような青空が目に痛い。 晩秋を迎えた日本からやってきた身には、抜けるような青空と、そ・・・

  • READ
    2016.10.24
    時川真一
    アイルランド釣り旅紀行 ~古城をバックにパイク釣り~
    • アイルランド
    • /
    • ノーザンパイク
    • /
    • 海外釣行記

    Youtubeで見つけた釣り場に行きたい! 「うわぁ、ここ行ってみたいな!」 ある日youtubeの動画を見ていて、なんとも引き込まれる映像に出くわした。国によって、釣り場で感じる「色」が違う。それを・・・

  • READ
    2016.12.29
    平坂 寛
    キノボリウオは本当に木に登るのか? 捕獲・実験・試食レポート(タイ王国・バンコク)
    • キノボリウオ
    • /
    • ストリートフィッシング
    • /
    • タイ
    • /
    • バンコク
    • /
    • 海外釣行記

    東南アジアにキノボリウオ(Anabas testudineus)という魚がいる。 魚のくせに木に登る?そんなことがあり得るのか。 いやいや、世の中には本当に水上を飛んじゃうトビウオや、水鉄砲を撃つテッ・・・

FEATURED ITEM

ショップを見る
  • 速乾ロングスリーブTシャツ(ホワイト)

    5,800円(税込)

  • Pelican eel Tシャツ(シティグリーン)

    4,800円(税込)

  • 速乾ロングスリーブTシャツ(バーガンディ)

    5,800円(税込)

ショップを見る
  • ©King Octopus Inc.,
  • ABOUT US
  • CONTACT
  • PRIVACY POLICY
  • 古物営業法に基づく表示
©Monsters,Inc.
  • ABOUT US
  • CONTACT
  • PRIVACY POLICY
  • 古物営業法に基づく表示